チャペックがブランド再生10周年の節目を象徴するキャリバー10.1搭載 限定モデル「TIME JUMPER」を発表。

Czapek「TIME JUMPER」──ブランド再生10周年を象徴する新キャリバー10.1搭載モデル 10 FOR 10~創業10周年を祝うキャリバー10

ブランド再生から10周年、初代、フランソワ・チャペックが工房を開いて180周年というダブルのアニバーサリーを迎えたCzapek & Cie(チャペック)は、新作「TIME JUMPER(タイム・ジャンパー)」を発表します。

【TIME JUMPER(タイム・ジャンパー)発表の背景】
フランソワ・チャペックの19世紀の懐中時計に着想を得ながら、自社開発の新キャリバー10を搭載。伝統的なギョーシェ装飾と未来的な造形を融合させ、時の表現そのものを再構築する1本です。
Czapekは2015年のブランド再興以来、「頭は空想に、足は地に」という哲学のもと、クラフトと革新の融合を追求してきました。今回のTIME JUMPERは、その歩みの節目を飾る“10 FOR 10(10周年のためのキャリバー10)”というテーマのもと誕生。10年の集大成であり、次の10年を象徴する作品でもあります。

Czapek「TIME JUMPER」正面とケースバック。24時間ジャンピングアワーと外周ディスクによる独創的な時の表示。裏面にはキャリバー10.1の精緻な仕上げが輝く。

TIME JUMPERは、時の読み取り方を一新するジャンピングアワー・ウォッチです。10の位と1の位を2枚のサファイア・ディスクで表示する24時間制アワー表示に、外周リングの分ディスクを組み合わせました。

デザイン開発段階のスケッチ – 1
ハーフハンター構造とジャンピングアワー機構の融合という、Czapekの挑戦の原点を示す。

デザイン開発段階のスケッチ – 2

≪ハイライト≫
・新開発キャリバー10.1:24時間制ジャンピングアワー(2枚のサファイア・アワーディスク)+外周ディスクによるトレーリング・ミニッツ表示

・ハーフハンター・カバーに新しい3次元ギョーシェ(Metalem社製)を採用。中央のルーペ越しにスケルトンムーブメントを覗く遊び心

・ケース径40.5mm。ステンレススティール100本限定/3Nイエローゴールド30本限定

TIME JUMPER着用イメージ。40.5mmのケース径とラバー・ストラップにより、存在感と快適さを両立。

・自動巻、約60時間パワーリザーブ、4Hz、パーツ数275、石数44、リサイクル950プラチナ製センターローター
・発表:ジュネーブでの10周年記念イベント。
・販売:Czapekブティック(ジュネーブ)、指定販売店、公式サイト

Metalem社製3Dギョーシェを施したハーフハンター・カバー。
開くとキャリバー10.1のスケルトン構造が現れ、時間の跳躍が視覚的に体感できる。

ハーフハンター型のカバーには、中心に吸い込まれるような立体的ギョーシェを刻み、中央のバブル型ルーペからムーブメントの鼓動を覗くことができます。遊び心と技術的洗練を併せ持つ、Czapekならではの“詩的メカニズム”です。

TIME JUMPER ステンレススティールモデル(100本限定)。
サテンとポリッシュの質感対比が際立つ、Czapekの現代的解釈。

キャリバー10の哲学
キャリバー10は、Czapekが次の10年を見据えて開発した新しい自社製オートマティック・プラットフォームです。従来のモジュール構造ではなく、各複雑機構を完全に統合する「統合設計」に基づいており、キャリバーシリーズ全体の基盤となる存在です。

自社製キャリバー10.1のディテール。
リサイクル950プラチナ製センターローターとブリッジ装飾の精緻な仕上げが見どころ。

初号機10.1では、リサイクル950プラチナ製センターローターを採用し、優れた巻き上げ効率と視覚的美しさを両立。直径36mmのコンパクトケースにも搭載可能な柔軟性を持ちます。

TIME JUMPERのケースバック全景。
サファイア・クリスタル越しに自社製キャリバー10.1の動きを鑑賞できる。
デザインとクラフト
ケースデザインは“空飛ぶ円盤”を思わせる有機的フォルム。CzapekのデザインパートナーであるABコンセプトが手掛け、ラグやリューズに至るまで柔らかな曲線で統一されています。カバーのギョーシェ彫りはMetalem社によるCzapek専用の新パターンで、深い中心に向かって光を吸い込むような視覚効果を生み出します。

3Nイエローゴールドモデル。
6時位置のプッシュボタンでハーフハンター・カバーを開閉できる独自構造。

TIME JUMPER ステンレススティールモデル。
“空飛ぶ円盤”を思わせる有機的なフォルムが、ケース全体を流れるように包む。

仕上げの細部にまで伝統的手法と現代技術が融合し、サンドブラストやサーキュラー・ブラッシュの質感対比が、光と影の奥行きを強調します。

【仕様】
TIME JUMPER ステンレススティール
税込予価 11,550,000円
限定:100本限定

TIME JUMPER 3Nイエローゴールド
温かみのある輝きと立体ギョーシェが調和する、希少なリミテッドエディション
税込予価 16,830,000円
限定:30本限定

【仕様】
ムーブメント:Cal. 10.1
・自動巻/約60時間パワーリザーブ(シングルバレル)
・振動数 4Hz(28,800 vph)/石数 44/パーツ数 275
・リサイクル950プラチナ製センターローター(スケルトン)
・スイスレバー脱進機/フリースプラング(4つの慣性ウェイト)
・仕上げ:ロジウム・プレートのブリッジ(サンドブラスト&サーキュラー・ブラッシュ、面取り)
機能
・ジャンピングアワー(24時間/2枚のサファイア・アワーディスク、スーパールミノバ)
・トレーリング・ミニッツ(レーザー着色・テクスチャ加工ブルー・ミニッツディスク)
ケース/ストラップ
・ステンレススティール+ホワイトゴールドの象嵌細工または、3Nイエローゴールド+象嵌細工
・径40.5mm、厚さ10.5mm(ハーフハンター・クリスタル含む12.35mm)
・サファイア・クリスタル(反射防止)/サファイア製ケースバック
・6時位置:カバー開閉プッシャー/ねじ込み式リューズ/防水 3気圧
・ブルーラバー・ストラップ、ピンバックル(ケース素材に準ずる)

【お問い合わせ】
株式会社 ノーブルスタイリング
〒153-8580
東京都目黒区三田1-4-1 ウェスティンホテル東京 1F
電話番号:03-6277-1604
FAX:03-6277-1689

[Czapek & Cie]
チャペックは、19世紀のチェコ生まれのポーランド人ウォッチメーカー、フランソワ・チャペック(François Czapek)の精神を受け継いだ現代のウォッチ・メゾンです。1831年にチャペックは、ワルシャワでの政治的混乱から逃れ、ジュネーブに亡命しました。そして1830年代に数々のビジネスを創業しました。1845年にCzapek & Cie.(チャペック時計会社)を設立したのち、彼はナポレオン3世の宮廷時計師となり、パリのヴァンドーム広場に最初期の時計ブティックを開きました。
チャペックの名前は、2015年にメゾンの歴史とクラフトマンシップを再興しようとする時計愛好家のグループによって復活しました。1850年代のチャペック製ポケットウォッチからインスピレーションを得た、ファースト・コレクションである「ケ・デ・ベルク33bis」は、2016年のGPHG(ジュネーブ・ウォッチ・グランプリ)でパブリック・プライズを受賞しました。2020年同社は、初の自社製ムーブメントを搭載したスポーツシックなコレクションである、アンタークティックを発表しました。現在、チャペックの時計は、独特なデザイン、高品質の職人技、限定生産で知られています。ジュネーブに本社を置き、ラ・ショードフォンに自社工房を構えるチャペックは、”etablissage”(エタブリサージュ – 水平分業)の精神を現代的に継承しながら、スイス高級時計製造の伝統を未来へとつなげています。

ジェイ・Z(Jay-Z)は、現代のポップカルチャーの頂点に立つ存在である。

彼はアーティスト、プロデューサー、起業家として多くのキャリアを積み上げてきた。もはや音楽を制作したりスーパーボウルのハーフタイムショーをプロデュースしたりする必要がないのだが、彼はとにかくなんでもやっているのだ。要は彼の一挙手一投足すべてが、波紋を巻き起こす可能性があるということである。それは時計コレクトも含めてだ。

 彼は常に、静かになにかを披露する力を持っていることを理解している。彼は1990年代後半にプラチナの時計を身につけていて、現在はディープな時計好きが好むマニア向けアイテムにまで手を広げている。彼の好みは現在のポップカルチャーを反映するというよりも、彼自身のハイエンドな嗜好を象徴するものとなっている。ファンにとってジェイ・Zの時計をウォッチスポッティングするということは、彼という人物や好み、そして彼がより大きな世界でどのように自身を見つめているのかを、理解しようとする方法となった。

 だから今年のグラミー賞でパテックのグランドマスター・チャイムをつけていたとき、我々は注目したのだ。そしてアカデミー賞の翌日、ビヨンセと開いたアフターパーティの写真が公開され始めた。ロック・ネイション(Roc Nation)の上級副社長であり、ジェイ・Zの友人で写真家でもあるレニー・サンティアゴ(Lenny S)が、スマートフォンで撮影した2枚の写真を見て欲しい。これは時計業界やファンページで、本人がパテック フィリップの希少なヴィンテージのRef.2499を着用している姿の写真であり、瞬く間に拡散された。

Jay Z wearing a Patek 2499 at Gold Party
オスカー後のゴールドパーティにて、1980年製のパテック フィリップ Ref.2499を着用するジェイ・Z。Photo courtesy Alex Todd.

Jay Z wearing a Patek 2499 at Gold Party
とてもしっかりとクローズアップした写真だ。Photo courtesy Alex Todd.

 1980年代に作られたファクトリーメイドのチェーンリンクブレスレットを備えた、信じられないほど複雑で珍しいこの時計がジェイの手首に巻かれているのを見られるというのは非常に大きな出来事だった。同僚にこの時計を試着したことがあるかどうか聞いてみたが、誰も身につけた記憶はなかった。大物コレクターは金庫を開けて見せびらかすことを嫌がるため、今まで誰も見たことがなくても不思議ではない。

 私はその写真をInstagramで共有し、それでこの件は終わりかと思った。数分後、ふと見ると、あるプライベートの時計コレクターであり、世界でも有数のパテックとAPのコレクションを築いていることを知ることになった元ディーラーから、ふたつのWhatsAppメッセージが表示されていた。彼は以前、自分のコレクションについて話をしてほしいという、私の依頼を断っていた。それでも我々は連絡を取り合っていた。

「こんにちは、マーク。元気に過ごしているだろうか」

 あまりにもタイミングがよすぎた。そして、素晴らしいストーリーがあるという予感が確信したと同時に、ジェイ・Zがなぜこのようなアイコニックな時計のオーナーになったのか、その真相を探るべく、特に人に話したがらないであろうことを承知で調査を開始したのだ。

 こうしてジェイ・Zは、史上最も希少なヴィンテージのパテック フィリップを手に入れることになったのである。

なぜこの時計が問題なのか
パテック フィリップのRef.2499は、多くのコレクターから史上最高の腕時計といわれているモデルだ。

 パテック フィリップは1950年から1985年のあいだ、永久カレンダー(ひと月の長さとうるう年を考慮したカレンダーのことだ)、ムーンフェイズ、クロノグラフを組み合わせたRef.2499を継続して生産し、市場を独占していた。しかしそれは年産10本にも満たなく、計349本と多くは製造されなかった。

The Patek 1518 pink on pink that sold for a record price in 2021.
パテックのRef.1518。2021年に、同リファレンスとしては過去最高の価格である957万ドル(日本円で約10億9750万円)で落札された、別名“ピンク・オン・ピンク”。

 35年間も市場を支配し続けるというのは並大抵のことではない。しかしパテックにとっては目新しい機構ではなかった。1941年から1954年までブランドは、Ref.2499の前身であるRef.1518を生産しているが、その数はわずか281本である。Ref.1518のほうがオリジナルだが、Ref.2499のほうがまだ珍しい存在だったのだ。

アスプレイのサインが入った唯一のパテック フィリップ Ref.2499が、サザビーズで388万ドルで落札される

2018年のオークションで落札された、最も希少なRef.2499の1本を取材している。高価格を記録した個体だが、将来の価格がそれすら吹き飛ばした。ご覧あれ。

「私見ですが、このサイズであったからこそ、パテック フィリップの“マストハブ”である永久カレンダークロノグラフという技術が注ぎ込まれたのだと思います」と、クリスティーズの元時計部門国際責任者であり、パテックに関するあらゆるものの愛好家兼研究者にして、そしてパテック フィリップのヴィンテージおよび中古品を販売するコレクタビリティ(Collectability)の創設者であるジョン・リアドン氏(John Reardon)は言う。「ミッドセンチュリー時代のパテック フィリップにとって、2499のデザインは、永久カレンダー クロノグラフをより大きなケースにするということが自然な流れでした」

 しかし、より現代的で着用しやすい37.5mmというのは、美観、腕の上での物理的なバランス、視認性、着用感に優れるサイズであり、純粋なパテックらしさを残したデザインとも思っている。後のモデルでケース直径が2.5mm大きくなっているが、すべてにおいて取るに足らない。

 1990年代前半になると、多くの人によりRef.2499の駆け込み需要が発生し始めた。リアドン氏と同じくクリスティーズの元時計部長であり、最近までオーデマ ピゲのコンプリケーション部門長だった友人のマイケル・フリードマン(Michael Friedman)氏は、過去に2499を集めていた“開拓”時代について語る。文字盤と金属を多様に組み合わせた極上のピースたちはオークションやプライベートで、また情報通のコレクターや裕福なコレクターのあいだで争奪戦が繰り広げられていたという。

「これはパテック フィリップのコレクターにとって優良株中の優良株です」とリアドン氏は話す。「そして、市場で買うべき優良株がないときはどうなるのか? さらに高額な値段がつくのです。1950年から1985年のあいだに製造された349本のRef.2499のうち、現在まで公になっているのは半分強ほどです」

The Platinum ref. 2499
 最も希少なのは、プラチナケースでできたRef.2499の2本のうちの1本だ。この時計はもともと、パテック フィリップ・ミュージアムに保管される予定だったものである。だがこの時計は何らかの理由でブランドの手を離れてしまい、そして1989年4月にアンティコルムが主催したオークション、“The Art of Patek Philippe”に出品された。パテック創業150周年を記念したそのオークションでは、インフレに合わせて調整されたプラチナ製の2499が約61万5000ドル(日本円で約8485万円)で落札されている。当時としては驚くべき価格だったが、これから迎える2499の狂乱には到底及ばない。

オーデマが昨日言った明日がある
Ref.2499が流行り始めた90年代半ばの頃に、ショーン・“ジェイ・Z”・カーター(Shawn “Jay-Z” Carter)も流行りはじめた。

 1996年、自身のロッカフェラ・レコード(Roc-A-Fella records)レーベルからリリースした『リーズナブル・ダウト(Reasonable Doubt)』というアルバムで、ジェイ・Zは腕時計に目をつけていることを世界に知らしめた。しかし、ジェイ・Zは、世間が持っているものと同じものを所有するだけでは満足しないと知っていた。「想像のとおり、具体的なもので示せ、プラチナロレックスだ、俺たちはリースなんてしない」(Can I Liveの歌詞より)

 みんながスティールやゴールドのロレックスを買っているときに、ジェイ・Zは(不思議なことに)ド派手な時計やモバードについての歌詞の次にリーズナブル・ダウトのトラック、“Can I Live”でより贅沢することについて話していた。

Jay-Z on the cover of WatchTime Magazine
Courtesy WatchTime Magazine.

 実は彼の初期のアルバムには、時計に関する歌詞が12曲ほどある。オーデマ ピゲへの思いは、2001年リリースの『The Blueprint 2: The Gift and the Curse』に収録されていた「Show You How」で、“アリゲーターストラップ付きのオーデマ ピゲ”と叫んだことから本化的に始まったようだ。1999年にロカウェア(Rocawear)を設立し、その2年後にはリーボックとエンドースメントを契約するなど、彼はビジネスマン、起業家として本領を発揮し始めた頃だった。2004年にはデフ・ジャム(Def Jam)レーベルの社長兼CEOにも就任している。

 ジェイ・Zが、時計分野で初めて大きなビジネスを興したのは2006年のこと。ジェイ・Zはオーデマ ピゲと協力して、彼のサインを裏蓋に刻んだ100本限定のロイヤルオーク オフショアを製作した。

 このスペシャルエディションは最後ではない。2011年に『Watch the Throne』でウブロについてラップしたジェイは、その後の2013年に同ブランドとのコラボレーションが実現しており、ブラックセラミックとイエローゴールドの両方で、ショーン・カーター ウブロ クラシック・フュージョンをリリースした。それからビヨンセが、彼の43歳の誕生日に500万ドル(日本円で約4億円)ものダイヤモンドをセットしたウブロをプレゼントしたとも報じられている。

Hublot Sean Carter watch
ショーン・カーター ウブロ クラシック・フュージョン。Courtesy Hublot

 歌詞のリストと時計のリストは延々と続く。

 彼はHODINKEEに何度も登場しては、ラップシーンでは当たり前になった(いまやほぼ着用必須)、ユニークピースである数百万ドルものリシャール・ミルを着用し、そして彼はAPも着用し続けている。サプライズでJLCもあった。そしてもちろん、今もロレックスを愛用している。なかにはフランク・ミュラーがベーシックなデイトジャストを改造して永久カレンダーにした、ユニークなロレックスだったこともある。

 しかし近年、ヒップホップ界のリーダーは、希少でアイコニックなパテック フィリップに引かれているようだ。ジェイは背後から迫ってくるシーンを、彼が好きでつけているものを拾い始めているのを見ると、それは次のステップに進む合図にしかならない気がするのだ。

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 そしてパテック以外にどこを動かせばいいのだろうか? 何しろ、ビヨンセとジェイ・Zは、ティファニーとのパートナーシップを成功させているからだ。ビヨンセは黒人女性として初めてティファニーの象徴である128.54カラットのダイヤモンドをまとい、夫とともに広告に出演している。ティファニーは、パテック フィリップと長年にわたり友好的な関係を築いているブランドだ。その関係を祝して、パテックは最も人気の高い時計であるノーチラス Ref.5711に、ティファニーをテーマ(ティファニーカラーの文字盤)にしてから別れを告げた。そのうちの1本が、フィリップス社のオークションで620万ドル(日本円で約8億1505万円)で落札されている。その8日後に、ジェイ・Zは自分のものを身につけていた。

Jay-Z wearing a Tiffany-dialed Patek.
Credit: Netflix

 またジェイは、最も高価で複雑なパテックのプロダクトモデルである、グランドマスター・チャイム Ref.6300Gをつけているところも目撃されている。2019年のディディ(Diddy)の50歳の誕生日パーティや、妻がグラミー賞の最多ノミネート記録を更新した今年の授賞式など、これまでに何度も着用しているモデルだ。希少なパテックを身につけることは、群衆から自分を引き離して、喧噪のなかにある自身の居場所で落ち着くための方法のように感じられる。

Jay-Z at the Grammys
グラミー賞でのジェイ・Z。Photo credit: Getty Images

 それは言葉を選ばずにいうと、「私は自分が何者か知っているし、他の誰とも似ていない。あなたは私になりたいかもしれないけどなれない。私の時計でさえ、それを示している」ということだ。

問題の2499
プラチナ2499と同じ1989年のオークションにて、永久カレンダークロノグラフなど、いくつかのパテックの興味深いユニークピースがあった。なかでもムーブメント番号869,392、ケース番号2,779,153を持つ、Ref.2499/101Jが際立っていたもののひとつだ。

 この時計はサファイアクリスタルを採用しており、4つのシリーズのうち4番目のリファレンスに位置づけられる。また43年前の1980年4月25日に、最初のオーナーに売却されている。しかし末尾に“101”と記載があることで、35年間の生産期間中に、ケースにブレスレットを組み込んだ状態で工場を出た、4本以下のRef.2499のうちの1本という、特別な特徴を与えている。

The Art of Patek catalogue
“The Art of Patek”のカタログにて、2499と同様のブレスレットのRef.3448、“パデローン”が掲載されている。Photo by Tony Traina.

 ブレスレットのヴィンテージパテックは、今でこそ多くのコレクターから評価されるようになっているが、当時はもっと需要が少なかったのだ。通常、ユニークピースには高いプレミア値がつくものだが、ゴールドを編み込んだブレスレットという思い切ったデザインは、当時のパテックの控えめなエレガンスさと相容れないと判断され、インフレに合わせて調整された最終価格は20万ドル(日本円で約2760万円)弱に抑えられていたようである。

 2013年にムーブメント番号869,392を持つ個体が、クリスティーズのオークション会場に再び姿を現したとき、この時計の外観はまったく変わってしまっていた。この変更により1週間は、まったく新しいケースが使われただとか、偽造や、シリアルナンバーの重複といったありとあらゆる憶測が飛び交った。しかし、本当のところはどうなのだろうか。

The 2499/101J as it came to Chrstie’s.
2013年にクリスティーズにやってきた2499/101J。Photo courtesy Christie’s.

 真ん中には、前述した超プライベートなコレクターと元ディーラーが座っている。Instagramで“Only_TheRarest”と名乗っているトニー・カヴァック(Tony Kavak)氏は、約10年前に時計ディーラーの仕事を引退し、それから故郷のストックホルムとチューリッヒにあるショップで、新品やヴィンテージといった希少な時計を扱っていたが、その後息子に事業を引き継いでいる。しかしそれ以上に大切なのは、カヴァック氏は何十年にもわたってヴィンテージパテック フィリップ(およびオーデマ ピゲ)の熱心なコレクターだったということだ。

Tony Kavak’s Instagram Feed
トニー・カヴァック氏のInstagramフィード。

「私が初めてRef.2499を買ったのは、2001年の33歳の時でした」とカヴァック氏は言う。「今まで購入した時計のなかでも高価な部類に入りますが、非常にクラシカルなモデルでした。私はすぐに恋に落ちました。手首にもしっくりきたのです。しかし2499の歴史について読み進めると、この時計だけではなく、パテックのウォッチメイキングの時代にもすっかり魅了されてしまったのです」

 しかしそのオークションに関してカヴァック氏は注目されることを望まなかった。実は観察力のあるパテックファンが、アフターゴールドパーティのジェイ・Zの写真に早々に気づき、そしてカヴァック氏のコレクションを思い出してピースを組み合わせてから、Instagramに投稿したようである。その人たちはジェイ・Zのファンアカウントやジェイ・Zの友人らと並んで、先週からしょっちゅうカヴァック氏をタグ付けして投稿していた。秘密はすでに明らかになっていたのだ。

 また、これまでインタビューに応じたことのないカヴァック氏は、この希少な2499/101Jがジェイ・Zの手にわたった経緯について多くを語ろうとはしなかった。だが注意深く検討し、さらに慎重に言葉を選びながら、ストーリーと時計との歴史のギャップを埋めていくことに快く応じてくれたのである。カヴァック氏はジェイ・Zと彼のプライバシーに配慮して、ジェイ・Zとの時間や時計の入手経路についてほんのわずかな情報しか語らず、もちろん価格の詳細については一切触れなかった。

 しかし彼がシェアした内容は、ジェイ・Z、そして彼のおかげで、これまで以上にヴィンテージのパテック フィリップに注目し始める可能性がある瞬間だと示唆している。

2013年、2499/101Jが再び市場に現れたとき、落札者は1989年当時の価格を下回る22万ドル(日本円で約2150万円、インフレに合わせて調整後)強を支払い、比較的お得に手に入れている。

 ケースとムーブメント番号はアンティコルムのオリジナルと一致したのだが、ロットタイトルには“ラグは後から追加”という追記があったため、入札者のなかには怖気づいた人もいたようである。カヴァック氏の見解では、以前のオーナーはRef.2499を所有することを気に入っていたが、ブレスレットの主張が強すぎると考えていたかもしれないとのことだった。ある時、オーナーは革ベルトで着用できるようにラグを追加するなどしてほしいとパテック フィリップに直接依頼して、通常の時計と同じように、時代に合わせてケースを作り直した。今なら冒涜と言われるようなことだが、この要望は叶えられた。

ノルウェー 最新リミテッドウォッチが先週発表された。

この新モデルは、同ブランドのヤンマイエンコレクションに属し、火山孤島のヤンマイエン島にあるベーレンベルク火山からインスパイアされた、特別なラヴァレッドダイヤルを採用している。そして、たしかに限定と名の付くモデルではあるが、皆が考えているようなものではない。

フラテッロ×ストラム ヤンマイエン リミテッドエディション、イメージカット
前コレクションの成功に続き、ヤンマイエンの変わらない魅力とデザインを持ちながら、パッケージがやや小さくなっている。ケースはスティール製で、直径が39mm、ラグからラグまでが45.8mm、厚さは11.3mmを実現し、フロントとバックにサファイアクリスタルを採用して100mの防水性を確保。フラテッロ リミテッドエディションの印象的な赤い文字盤にはフュメ加工を施し、スーパーコピー 代引きその上には時刻表示のみのシンプルな演出を補った12個の夜光塗料付きアプライドインデックス、それと同色の針をセットしている。これによりサイズ感のいいブレスレット一体型スポーツウォッチという概念に、独特で効果的な魅力をもたらしている。

ヤンマイエンの内部には、ラ・ジュー・ペレ社(スイス)のG101オートマチックを搭載。2万8800振動/時、約70時間のパワーリザーブを誇るこの比較的新しいムーブメントは、AnOrdainなどのブランドがほかの用途に使用しているのを見たことがあるのだが、このムーブメントはETA 2824のようなものとダイレクトに競合することを意図している。

フラテッロ×ストラム ヤンマイエン リミテッドエディション、文字盤のアップ
フラテッロ×ストラム ヤンマイエン リミテッドエディション、ラグのディテール
フラテッロ×ストラム ヤンマイエン リミテッドエディションのリストショット
ストラムとフラテッロの1年以上にわたるコラボレーションから生まれた、最新ヤンマイエン リミテッドエディションは1725ドル(日本円で約23万円)で販売されるが、そこには裏がある。この限定版は数量による制限ではなく、時間によって制限を設けている。受注期間は1週間(4月13日~4月20日)であり、期間中に注文があった数だけ、ストラムが生産するという仕組みだ。ただし20日以降は受注が締め切られてしまい、このバージョンが2度とつくられることはない。

フラテッロ×ストラム ヤンマイエン リミテッドエディションのリストショット
我々の考え
この文章を読んでいる方のなかにご存じない方がいるかもしれないため説明しておくと、フラテッロはオランダに本拠を置く優良時計サイトである。2004年に設立された老舗サイトであり、チームには超が付くほどの時計好きが揃っている(オメガの“スピーディ チューズデー”という言葉を聞いたことがあるだろうか。これは彼らからスタートしたものだ)。フラテッロとマイクロブランド両方の長年のファンである僕は、ストラムとこの素晴らしい最新限定ウォッチをとても気に入っている。というのも、以前登場したオパーヴラインですでに僕のアンテナに引っかかっていたブランドなのだ。

フラテッロ×ストラム ヤンマイエン リミテッドエディションのリストショット
ブレスレット一体型のスポーツウォッチの人気が衰えないなか、しかも40mm以下のスポーツウォッチという流れが広がっていることを考えると、新しいヤンマイエンラインはストラムにとって、着実に1歩前進したモデルだと言えるだろう。フラテッロ リミテッドエディションが持つ赤を見てもらえるだろうか? ブレスレット一体型のスポーツウォッチというただっ広い海のなかで(IBSWのように)、ブラックやブルー、ホワイトじゃないものは必ず目立つし、そこにテクスチャーという付加価値があるのはむしろ僕の好みだ。まるでグラスヒュッテ・オリジナルの過去のシックスティーズコレクションにあった、荒々しい質感のダイヤルを思い出す。

フラテッロのヤンマイエンはドレッシーというよりスポーティなスタイルに近く、細部にまでこだわって視認性を追求したダイヤルデザインを採用している。また写真で見る限り、ケースとブレスレットの細部に至るまで美しく仕上げがされていて、しかもこれがマイクロブランドならではの、メジャーブランドをはるかに下回る価格帯でありながらそれとほぼ同様の製品を提供しているというのだから驚きだ。

フラテッロとストラムの両社によって誕生した、新しい限定モデルの発売を祝福しよう。そして熱心な方に、13日午後4時(中央ヨーロッパ夏時間)から1週間だけと念押ししておこう。刻一刻と、時間は過ぎている。

基本情報
ブランド: ストラム(Straum)
モデル名: フラテッロ×ストラム ヤンマイエン リミテッドエディション(Fratello × Straum Jan Mayan Limited Edition)

直径: 39mm
厚さ: 11.3mm
ラグからラグまで: 45.8mm
ケース素材: ステンレススティール
文字盤: フュメ仕上げの“ラヴァレッド”
インデックス: アプライド
夜光: あり、針とインデックス
防水性能: 100m
ストラップ/ブレスレット: プッシュボタン式のバタフライクラスプを備えた、一体型SSブレスレット

フラテッロ×ストラム ヤンマイエン リミテッドエディション
ムーブメント情報
キャリバー: ラ・ジュー・ペレ社製、G101
機能: 時・分・センターセコンド
パワーリザーブ: 約70時間
巻き上げ方式: 自動巻き
振動数: 2万8800振動/時
石数: 24

価格 & 発売時期
価格: 1725ドル(日本円で約23万円)
限定: 時間による制約がある。注文は2023年4月13日(中央ヨーロッパ夏時間午後4時)から4月20日(中央ヨーロッパ夏時間午後4時)のあいだのみ受付。その後販売を終了し、このエディションは2度と生産されない。

ピクセルが鮮烈な印象を与えるシャネル J12 サイバネティック。

J12 パラドックスが発表されてから3年の月日が経った。ということは、私がその時計にひと目惚れしてからそれくらい経過したということでもある。パラドックスという単語は、間違っているように感じながらも実は正しいという意味であり、同モデルもその名のとおりひと目見ただけだとこれは本当に合ってるの? と自分に問いかけてしまうほど、非常にユニークな見た目をしている。

そしてJ12 パラドックスを知っている人であれば、2023年の新作として発表されたJ12 サイバネティックがそのDNAを色濃く受け継いでいることはすぐにわかるはず。定番モデルのJ12 パラドックスと異なり数量限定品ではあるが、今回は運よく実機を借りれる機会を得たためレビューをお届けしていきたい。

まずはJ12 サイバネティックについて簡単に紹介を。この時計はケース直径が38mm、厚みが約12.6mm、防水性能は50mと、スペックだけを見るとなんてことない時計だ。ただやはり注目すべきはその見た目にある。ブラックラッカーをベースに、マットホワイトのピクセルが“侵略”してきているかのような見た目を持つ文字盤に、階段状にカットされたピクセルケース、そしてピクセル形状のデザインが配されたブラックとホワイトカラーのサファイアクリスタルベゼルを備えている。これぞまさに真のアシンメトリーウォッチだと主張するかのように、時計の右半分と左半分でまったく異なる見た目になっている。

ケースの製造方法はJ12 パラドックスと同じ。形状が異なるブラックとホワイトの2つの高耐性セラミックケースを薄いブレードでカッティングし組み合わせて、裏蓋側から4つのネジで固定するという斬新な製法だ。とても簡単に書いてしまったが、セラミックは非常に硬い素材だし、これをいざ実現するとなると大変高度な加工技術が必要になる。

またシャネルはJ12 サイバネティックが属する“シャネル インターステラー カプセル コレクション”について、SF(サイエンスフィクション)の世界、宇宙、タイムトラベルからインスピレーションを得たとしている。そしてデジタルの世界において代表的なモチーフであるピクセルを、J12のデザインにうまく落とし込んでいるのが本作だ。針で時刻を示すアナログ時計を、デジタルの象徴のようなピクセルが切り込んで侵略しているような感覚に陥った。そんなシャネルの作品・感性はとても素晴らしいものだと思う。

冒頭で触れたひと目惚れの話を少ししよう。私は黒い服が好きだ。でも財布などの小物は、黒が持つ静けさとは真逆の少し奇をてらったものや、派手な色・デザインにしたいというスタイルを大事にしている。そんな私がJ12 パラドックスを見たとき、白をベースに黒を少し塗り分けたその見た目が、自分の姿と重なったのだ。私は3年前にひと目見ただけで、J12をとても気に入った。もちろん、その系譜を受け継いだJ12 サイバネティックのデザインも大好きだ(階段状のピクセルケースがさらにギャップ満載だしね)。

自分がいかにツートンのJ12が好きかという話はこれくらいにして、J12 サイバネティックについてのレビューをしていこう。

さまざまな角度から見てわかる粋なクリエイション

まずはデザインについて。これはケースの右側だけがホワイトというスタイルで、そのホワイトのほうは滑らかなケースシェイプではなく階段状にカット。この形状にするのは多分(いや絶対)簡単なことではないだろうし、その階段状のエッジ部分を触ってみた感触も、セラミック特有のツルツルとした触り心地のままで指先に痛みは感じなかった。よく磨かれていることがわかる。

また正面から見るとわからないが、ただ階段状にカットしているのではなく、ピクセルのひとつひとつがブレス側に向かって絞られ、台形になっているのだ。触り心地のよさの秘密はここにあると感じる。こちらのシェイプに関しては、シャネル公式サイトの3Dシステムで見るとさらにわかりやすいため、ぜひいちど見て欲しい。

文字盤の1時~5時までのアラビア数字インデックスがない(それとJ12 パラドックスの4時半位置には日付があったが、これらはピクセルによって侵略されてしまったのだろうか?)。だから初めて写真を見たとき、この時間帯はわかりにくいのかなと思ったが、いざ実機を見てみると、なるほど、すり鉢状の細いインナーリングにホワイトのミニッツマーカーが施されていたため視認性に問題はなかった。

またマットホワイトのピクセルがアプライドしたインデックスのように少し盛り上がっているのも特徴。少しおもしろくて大胆だなと感じたのは、若干窪みが設けられた文字盤の内側にあるミニッツトラックの上にピクセルが乗っかっていて、隙間ができているのだ。横から見てみるとこのおもしろさに気付くはず。こんなデザイン、いままで見たことあるだろうか?

J12 パラドックスのサファイアクリスタルベゼルは、ブラックを施したあとにホワイトを重ねて製造していたが、J12 サイバネティックも製造方法は同様なのだろう。ただし、単にツートンに塗るのではなく、丸みを帯びたベゼルに対してきちんとキレイな正方形のピクセルをプリントしている点に注目だ。

ちなみにバックルについて、J12 パラドックスの記事でも取り上げているため簡単に触れておくと、シャネルが特許を取得しているシンプルなフォールディングバックルは、女性にとって大変うれしいディテールだ。なぜかというと、このバックルには硬めのバネが搭載されていて、ブレスのコマを少し摘むだけで爪を傷めずに簡単に時計の着脱ができるからだ。

キャリバーはほかの38mmのJ12と同じく、Cal. 12.1を搭載。製造しているムーブメントメーカーはみなさまご存じのとおり、ロレックスの兄弟会社であるチューダーが設立したムーブメント製造会社、ケニッシ社が手掛けており(なおシャネルは同社の株式を保有している)、半円形のローターの真ん中が丸い形にくり抜かれているのが特徴だ。ローターがムーブメントの美観を邪魔しない仕様により、全体の動きをより広く鑑賞できる。

パワーリザーブは約70時間、COSC認定済みと十分なスペックを確保。個人的にはJ12 パラドックスと比べて日付表示がなくなっているのが気になるが、まあほかにも日付がないJ12があるためそこまで気にしないことにした。仕事柄1日に1回は日付を確認しているため、私はデイトの付いた時計は大歓迎なのだ。

私の手首は女性の平均よりだいぶ細く、大抵の時計はラグが腕の幅より出てしまうし、メンズモデルをつけるなんてもってのほかだ。時計のエディターとしてどうなの、という感じだがしょうがない。だからこそ私が快適につけられる時計の選択肢はだいぶ狭い。

だけどやっぱり、時計はデザインで選びたい。大きかろうが重かろうが、デザインが好きならその時計をつけたい。J12 サイバネティックはそんな気持ちにさせてくれる。実際につけてみると、ほぼセラミックでできているぶんやや重みを感じるし、私の腕だと1日中つけていられなかったが、見た目がかわいいからいいのだ。時計を途中で変えて、また明日つけて楽しめばいい。

ただもしシャネルの人たちに届くのなら書いておこう。もう数ミリダウンサイズした、ワントーンでもクォーツでもないJ12を出して! もしそんなモデルが出たら、私は絶対に手に入れると誓う。

時計に詳しくない人(そしてそうではない人も)が、ケースの片側だけカクカクしているこのモデルを見たら二度見してしまうはず。そしてまじまじとそれを見つめていたら、もうその人は私のようにJ12 サイバネティックの虜になっているだろう。

次にシャネルはどんなデザインのJ12を仕掛けてくるのか。ピクセルで来たから次はトライアングルとか? 予想するだけでも楽しい。今回は限定生産品だったが、やはりそうではなく、次回はJ12 パラドックスのようにレギュラーで展開して欲しいところ。それもダウンサイズしてね。

シャネル J12 サイバネティック。Ref.H7988。高耐性セラミックケース、50m防水、直径38mm、シースルーバック。ブラックラッカー、マットホワイトのピクセルモチーフダイヤル、アプライドのアラビア数字インデックス、スーパールミノバ。ムーブメントはCal. 12.1、パワーリザーブ約70時間。高耐性ブラックセラミックブレスレット、SS製3重折りたたみ式バックル。201万3000円(税込)、数量限定、発売中。

ジラール・ペルゴ ロレアート グリーンセラミック アストンマーティン エディション 38mmでグリーン。

これはフルセラミック製で、クルマにインスパイアされた時計だ。

時計とクルマへの情熱の融合はなにも目新しいものではない。これらの共通の利益は常に交差している。ロレックスのデイトナであれ、ホイヤーのカレラであれ、さらにはポルシェデザインであれ、すべてそこにあるのだ。このふたつの分野が歴史、クラフトマンシップ、パフォーマンスといったアイデアを融合させる。単独でもストーリーテリングにうってつけだが、一緒になればなおさらいい。

2021年、ジラール・ペルゴとアストンマーティンは婚約を結び、ふたつの歴史あるブランドがさまざまなアイテムでコラボレーションできるようになった。そして今年初め、彼らはモーターヘッドたちのあいだでよく知られるブリティッシュレーシンググリーンでできた特別なロレアート(GPを象徴する一体型スポーツウォッチ)を発表した。

ジラール・ペルゴ ロレアート 38mm グリーンセラミック アストンマーティン エディション
少なくとも現代の背景では、クルマとコラボレーションした時計はやや強引であることが多い。燃料計のように見えるダイヤルやクルマを想起させるようなデザインヒントがあるものは、同じように現代的な自動車デザインを連想させることを意図していると考えておいて欲しい。そんななかアストンとGPは今回のリリースで、はるかにシンプルな方法を採用した。

“破綻していないのであれば直さない”という時計デザインの力強さを理解したうえで、GPのロレアートをベースに42mmと38mmという2サイズの時計をつくるという選択をした。今回は38mmモデルに注目しよう。というのも、それが本当に魅力的な時計で、同じようにサイズ感もいい感じだからだ。それになにより…緑一色なのだ。

ジラール・ペルゴ ロレアート 38mm グリーンセラミック アストンマーティン エディションのリストショット
それこそが、この時計の際立った特徴だ。私にはこれがブリティッシュレーシンググリーンだとは思えないが、この配色を選択した背景には、このグリーンのインスピレーションがあったのだろう。そのポイントをしっかりと強調するためには、ホワイトのストライプの要素が足りないと思う。結局のところ、この時計が優れているのはモダンとクラシックが融合しているというところだ。最も注目すべきモダンな要素は、時計全体、すなわちケースとブレスレットにセラミックを使用していることである。この特殊なセラミックはジルコニウムと金属酸化物から組成されており、サテン仕上げとポリッシュ仕上げの組み合わせが可能だ。

文字盤はケースやブレスレットと同じグリーン。クルマのグリルを連想させる、独特のクロスハッチパターンを施しているが、実機を見ているぶんには気にならない。実際に光が当たると、グリーンの海のなかで欠けていた視覚的な魅力がいっそう増す。時、分、センターセコンド、日付(3時位置)機能を備えており、全体的なダイヤルレイアウトはシンプルだ。12時位置にはアプライドされたGPロゴがあり、6時位置の近くにはLAUREATOとAUTOMATICからなる2行のテキストがある。後者はセリフの多い70年代風の独特なフォントで、新旧モチーフの架け橋となっている。

ジラール・ペルゴ ロレアート 38mm グリーンセラミック アストンマーティン エディション

グリーンに使用されているセラミックは、スティール製の時計よりも7倍の硬度を誇り、傷にも強い。グリーンの時計を裏返すと、アストンマーティンのブランドロゴが施されたシースルーバックが現れる。そのブランドロゴの後ろには、約46時間パワーリザーブを誇る自社製Cal.GP03300が搭載されている(ちなみに42mmバージョンはCal.GP01800を採用しており、パワーリザーブは約54時間)。

ブレスレット一体型のスポーツウォッチの海のなかで、単調さを打破するためにクルマ(のインスピレーション)が必要になることもある。私の手首サイズは6.5インチ(約16.5cm)弱であり、こちらの38mmバージョンに心引かれる。腕にはめてみると、1975年から続くロレアートの歴史が実感できた。当時のフォントや八角形ケースのような華やかさ、さらに特徴的なグリーンセラミックなどの装飾が相まって、“全体は部分の総和に勝る”という考え方に基づいた時計であることを感じさせてくれる。

ジラール・ペルゴ ロレアート 38mm グリーンセラミック アストンマーティン エディションのリストショット
この時計につけられた327万8000円(税込)という値札を見て、パンチが効いていると捉える人もいるだろう。ただ、このジャンルで似たようなスタイルを手掛ける多くのライバルと比較しても、妥当な価格であることは間違いなく、ムーブメントと素材の革新性の両方がそれを裏付けている。この時計が内外に提供しているすべての事象を考えると、私はこのパートナーシップに今後も注目していくことだろう。

ジラール・ペルゴ ロレアート 38mm グリーンセラミック アストンマーティン エディション。直径38mm、厚さ10.27mm、100m防水。グリーンセラミック製ケース&ブレスレット、無反射サファイアクリスタル、クロスハッチパターンのサンレイ仕上げグリーン文字盤、グリーン夜光。Cal.GP03300、時・分・センターセコンド、日付表示、約46時間パワーリザーブ、27石、2万8800振動/時。価格は327万8000円(税込)。